8月6日の東北の夢プロジェクトin岩手、8月11日の東北の夢プロジェクトin福島に先駆けて、日本フィルのメンバーが出演するそれぞれの団体と、互いの活動を知るための「交流イベント」を実施しました。
東北の夢プロジェクトin岩手 交流イベント
6月30日~7月1日、日本フィル金管五重奏のメンバー(トランペット大西敏幸、犬飼伸紀、ホルン伊藤舜、トロンボーン福島莉那、チューバ柳生和大)が共演団体のもとへ訪問しました。
牛伏郷土芸能保存会
交流イベントは、宮古市立宮古西中学校の体育館をおかりし、宮古市立千徳小学校の皆さんと中学生の皆さんを中心に行いました。まずは日本フィルの金管五重奏の演奏をお届け。楽器紹介などのMCを交え、金管五重奏の響きを親しみやすい音楽で楽しんでいただきました。次に、中学生の皆さんに演舞を披露いただきました。「七つ舞」と「剣の舞」を、日本フィルの奏者も興味深く鑑賞。牛伏郷土芸能保存会の皆様に見守られながら、普段は別々に活動しているという、小学生の皆さんも中学生の演舞を一緒に見学しました。最後は奏者、小学生、中学生を交えてグループに分かれての交流。短い時間ではありましたが、奏者から普段の練習や演舞について子どもたちへ問いかけ、音楽と伝統芸能というそれぞれの文化芸術について理解を深める時間となりました。
岩手大学教育学部附属小学校合唱部
合唱部の皆さんの演奏から始まり、《校歌》など、8月の本公演で披露する楽曲をひと足早く聴かせていただきました。会場には美しいハーモニーが響き渡り、日本フィルのメンバーも思わず聴き入ってしまうほどでした。続いて、日本フィル金管五重奏による演奏では、楽器紹介を交えながら、《リベルタンゴ》など楽器ごとの音色が際立つ作品や、響きの美しさを感じていただける本格的な金管五重奏のオリジナル作品をお届けしました。演奏後には、《主よ人の望みの喜びよ》を一緒に演奏。互いの音に耳を澄ませながら、音楽を通じた交流の時間となりました。その後のグループ交流では、質問や感想を交わし合いながら、対話を通して関係性を深める温かなひとときとなりました。
―各団体のプロフィール―
牛伏郷土芸能保存会(宮古市立千徳小学校、宮古市立宮古西中学校)
牛伏郷土芸能保存会は1963年に全国郷土芸能大会出場がきっかけで発足しました。牛伏念仏剣舞は、源氏一族と敵方平家の戦没将士を弔うために踊ったのが始まりと言われ、五穀豊穣や平和平安を祈るものとして踊り継がれてきました。牛伏集落には念仏剣舞と七つ舞、その他には神楽、さんさ踊りがあったと言われています。現在は、念仏剣舞は中学校から、七つ舞は幼稚園から伝承されています演目は、剣舞の長刀踊、捨て声扇踊り、城回し扇踊り、太刀、あやで構成されています。七つ舞は元来剣舞の一部で、七種類(長刀、斧、鎌、こん棒、杵、弓、太刀)の武器や農具をもって踊るのが最大の特徴です。保存会の方からご指導をいただき、千徳小学校では運動会で七つ舞を披露しています。宮古西中学校では、文化祭で歌と舞を組み合わせた歌舞劇として上演しています。
岩手大学教育学部付属小学校合唱部
岩手大学教育学部附属小学校合唱部は、4年生から6年生までの歌うことが大好きな子どもたちと先生方とで、声を合わせて合唱をすることを楽しんだり、音楽が少しずつ創り上げられていくことにわくわくしたりしながら、日々活動しています。今年度は、「わたしたちの声で、聴いている人の心に残る幸せの歌を届けよう!」をスローガンにし、みんなで歌詞の意味を話し合ったり、響きのある歌声を追求したりと、一人ひとりが曲と向き合いながらコンクールへの出場を目指して取り組んでいます。また、毎年11月には、 岩手大学教育学部附属小学校の合唱部と吹奏楽部が一体となり、「わかたけコンサート」という演奏会を行っており、1年の集大成を多くのお客様に聴いて頂く大切な機会になっています。
東北の夢プロジェクトin福島 交流イベント
7月4日~5日、福島県立小名浜海星高等学校チーム「じゃんがら」とMJCアンサンブルを、日本フィルの弦楽四重奏団(ヴァイオリン太田麻衣、大貫聖子、ヴィオラ江藤史織、チェロ山田智樹)が訪問しました。
福島県立小名浜海星高等学校 チーム「じゃんがら」
交流イベントは日本フィルの演奏からスタート。作曲家や弦楽器について紹介しながら、クラシックの名曲からポップス曲まで幅広いジャンルの楽曲を演奏し、弦楽四重奏の響きをたっぷりとお届けしました。最後には「アンコール!」の声も。日本フィルの演奏後は、チーム「じゃんがら」の皆さんの演舞を披露していただきました。間近で聴く迫力ある太鼓や鉦の音に圧倒されながら、生徒の皆さんの真剣な眼差しに心打たれる時間となりました。続いてじゃんがら念仏踊りを、日本フィルのメンバーも体験させていただけることに!太鼓、鉦、手踊りを生徒の皆さんに丁寧に教えていただき、会話も弾みます。最後はチーム「じゃんがら」の皆さんと日本フィル全員で演舞を披露しました。生徒の皆さんからは、8月11日の本番に向けて更にレベルアップできるよう、頑張ります!との声が。同じ舞台に出演する仲間としてまた再会できる日を楽しみに、小名浜を後にしました。
MJC(南相馬ジュニアコーラス)アンサンブル
会場は、明治・大正・昭和と続いた造り酒屋(旧松本銘醸)の酒蔵を改装したユニークな建物で、約40名の一般の来場者にもお楽しみ頂きました。冒頭、「ハンガリー舞曲第5番」はじめ、ブラームスやモーツァルトの名曲や、親しみ易いディズニーソングなどを弦楽四重奏の演奏でお送りしました。続いて、MJCアンサンブルの9名による女声コーラスで、「Prey」「群青」「雲のかなた」の3曲が披露されました。代表で指導者の金子洋一さんが、それぞれの曲の成り立ちや、詞に込められた想いをわかりやすく語られ、中学校1年生から主婦までの幅広い年齢層で構成された団員が、歌うことの喜びを声にのせて切々と表現してくださいました。最後は弦楽と合唱が一緒に「花は咲く」ともう一度の「群青」を演奏しました。弦楽器の澄んだ調べと温かなコーラスが、素晴らしい音響の会場いっぱいに広がり、場内の全ての人々を優しく包みました。会の終わりに小グループに分かれ、思い出の音楽体験を披露し合い質問し合ったりで、すぐに打ち解け、8月11日に向けての交流を深めました。
福島県立小名浜海星高校のチーム「じゃんがら」は、震災やコロナを乗り越えた地元を元気にしたいという思いから、「鎮魂・復興・感謝」を活動の三本柱として日々稽古に励んでおります。学校の各種行事から地元で開催される鎮魂盆踊り、老人介護施設などのお祭り、交通事故撲滅キャンペーンや海フェスなどなど、様々なイベントからお声がけいただき「じゃんがら念仏踊り」を披露させていただいています。令和6年度は約20回の演舞依頼があり披露させていただきました。「じゃんがら念仏踊り」とは、福島県いわき市を中心に江戸時代より約400年伝わる念仏踊りの一種で、太鼓や鉦、唄や手踊りを交えた盆踊りの要素を持っています。また、約100団体以上が活動していますが、一つとして同じものがないのも特徴の一つです。毎年7月ごろになると、どこからか「じゃんがら」の音が聞こえてきます。そして、8月のお盆の時期になると、新盆を迎える家の庭先などから聞こえてくる太鼓や鉦の音は、いわき市の夏の風物詩となっております。地元に長く愛され続けている郷土芸能の一つで、いわき市の無形民俗文化財に指定されています。
MJCアンサンブルプロフィール
2009年6月地域の中学校、高校の合唱部がすべて廃部になってしまったことから子ども達の合唱活動継続のために結成。2011年2月に、全国ジュニアコーラス録音予選を突破した直後の東日本大震災、原発事故でメンバーがバラバラになりながら各地で自主練習を重ね「2011こどもコーラスフェスティバル」に出場を果たしました。その姿が各方面で注目を浴び、2011鈴鹿サーキットF1グランプリ開会式で国歌斉唱、2012年にはニューヨーク公演、バチカンでローマ法王に献呈演奏、それ以降も台湾遠征、ウィーン楽友協会第九演奏会でウィーン少年合唱団との共演など国内外で精力的な活動を展開。2018年夏には結成以来、初めて東京自主公演を成功させました。現在は地元での演奏を中心に音楽で福島の元気を発信する活動を継続し、震災後のふるさと復興や地域のコミュニケーション再構築の分野にも活動範囲を広げています。震災後の通算演奏活動は276回となります。