2002年9月、日本フィルが友好提携を結んでいる杉並区との交流プログラムの一環として、区内在住の方々を対象にした「60歳からの楽器教室」がスタートしました。日本フィルと杉並区民とのより一層の交流を目指すとともに、60歳を過ぎて生活に時間的なゆとりができた方に、新たな挑戦をしていきいきとした日々を送って頂くことを願って、長らく日本フィル主催事業として開催されてきました。
現在は、日本フィルとともに、ヴァイオリン・チェロクラスはセシオン杉並(指定管理者:東急コミュニティー・東急文化村・協和産業共同事業体)、クラリネットクラスは西荻地域区民センター(指定管理者:東急コミュニティー)が共同主催の形で各施設にて開催しています。
プロフェッショナルオーケストラの楽員やOB楽員が講師をつとめる、大人を対象とした楽器教室は全国的にも他に例がありません。
2025年度はヴァイオリン、チェロ、クラリネットの3つのクラスを開講。日本フィルの楽員・OB楽員が1年間通して指導します。受講生は、初めて楽器に触れる方、若い時に少し演奏経験がある方など様々です。修了時には練習の成果を披露する修了発表会をホールで開催。共通の趣味を持つ仲間とともに身近に音楽に親しみ、「新しい目標を持つことで生活に張りができた」と好評を得ています。
楽器教室のスタートは開講式から始まります。初心者の方も参加できる教室ですので、最初はレッスンの進め方や楽器についてのご質問などについて、講師と直接お話します。日本フィル事務所スタッフや施設のスタッフが皆さんのレッスンをサポートします。
レッスンは開講日を含めて年間18回(2024年度実績)。1回45分程度、月に2回を基本として、発表会まで練習を重ねていきます。同じくらいのレベル別に分かれたグループレッスンの形式で進められ、切磋琢磨しつつ、音楽を通じて自然にコミュニケーションが生まれます。レッスン後のお茶会が恒例となりさらに親睦を深められ、生活に張り合いが出たというお声も聞かれます。
講師は日本フィルの現役楽団員を主に、日本フィルのOB・OG楽団員も指導にあたります。コンサートが年間約150回と日本フィルは演奏会の数がとても多いオーケストラですので、月のレッスン回数に変動はありますが、全体の回数は年間を通して調整していますのでご安心ください。
教室には、どんな方が参加されているのでしょう?
「ずっと憧れだった楽器に挑戦したい」
「子どもの頃に習っていたけれどそれきりで、リタイアしたこの機会に再チャレンジしたい」
「音楽が好きで、誰かと一緒に楽器を始めてみたい」
「介護がひと段落したので、今度は自分のために時間を使いたい」
「病気をしてしばらくリハビリをしていたけれど、そろそろまた楽器を再開したい」etc...
皆さんの参加動機はさまざまです。
1年間の終わりには、集大成として発表会が開催されます(任意参加)。それぞれの進度に応じて講師が選曲し、アンサンブルやソロで発表。楽器の習熟の道をともに歩んできた仲間たちと一緒に経験する、一度だけの特別な舞台。無事に発表を終えた皆さんのこの充実した笑顔が、講師たちにとっても何よりのギフトなのです。
終演後は、講師から皆さんそれぞれへ修了証書をお渡し。コロナ禍前にはお疲れ様パーティーでお互いの労をねぎらい、次への英気を養っていました。
このような楽器教室での活動を通して、シニアの皆さんの向学心や探求心に応えるとともに、音楽の喜びを共有することで、シニアの皆さんの生きがいの創出やコミュニケーションの活性化に貢献しています。
ヴァイオリンクラス
◆加藤祐一 (かとう ゆういち)
◆大貫聖子 (おおぬき せいこ)
◆松本克巳 (まつもと かつみ)
チェロクラス
◆大石修 (おおいし おさむ)
◆江原望 (えはら のぞむ)
クラリネットクラス
◆楠木慶[副首席奏者] (くすのき けい)
◆照沼夢輝 (てるぬま ゆめき)