8月5日の東北の夢プロジェクトin岩手、8月11日の東北の夢プロジェクトin福島に先駆けて、日本フィルのメンバーがそれぞれの団体と交流し、互いの活動を知るための「交流イベント」を実施しました。
東北の夢プロジェクト2024 楽しいオーケストラin岩手 交流イベント
葛巻町立葛巻中学校(7月5日訪問)・4校合同「つながる」絆合唱団(7月6日訪問)
7月5日、葛巻神楽「鶏舞」を演じる葛巻町立葛巻中学校を日本フィルの弦楽四重奏団が訪問しました。会場には近隣の住民の方々も集まられ歓迎ムード。まず前半はコンサートです。地元の民謡《南部牛追い唄》で始まり、楽員の語りを交えながらクラシックの名曲、アニメの主題歌、ジャズなど迫力ある生演奏をお届けしました。最後に校歌をご一緒し、全校生徒53人の皆さんの明るい歌声が体育館いっぱいに響き渡りました。後半の交流イベントは質問コーナー。次々と手が挙がります。「今まで一番緊張したのはどんな場面ですか?」「活動していて良かったなあと思うのはどんな時ですか?」といった質問に、楽員ひとりひとりが誠実に答えました。その後、「祝 全国中文祭出場 葛巻神楽『鶏舞』」の垂れ幕をバックに記念撮影。学校を出発する時、全校生徒さんがバスの前で《イーハトーブの風》を合唱して手を振って見送ってくださいました。音楽を通してお互いの心が通じ合うすてきな体験に感激しながら、さわやかな風が吹く“ミルクとワインの町”葛巻高原を後にしました。
翌日は4校合同「つながる」絆合唱団を訪問。交流イベントは、合唱団の皆さんの演奏からはじまり、《銀河鉄道999》など、8月の本公演で演奏する曲を聴かせていただきました。皆さんの歌声に、日本フィルのメンバーからは「感動しました」、「歌詞が心に入ってきました」といった感想が聞かれました。続いて、日本フィルの演奏をお届けします。岩手県民謡である《南部牛追唄》やクラシック、ポップス、ジャズと幅広いジャンルの楽曲を演奏し、弦楽四重奏の響きを楽しんでいただきました。日本フィルの演奏後は、グループに分かれてお互いの演奏の感想などを共有します。最初は緊張する様子も見られましたが、好きな音楽の話などをし、打ち解けていきました。最後には、合唱部の皆さんと一緒に《ふるさと》を演奏。8月の本番に向けて、気持ちを高めました。
~各団体のプロフィール~
葛巻神楽「鶏舞」(葛巻町立葛巻中学校)
葛巻中学校は、「葛巻神楽」の伝承活動に全校で取り組み、文化祭では地域に向けて披露している。先輩から後輩への伝承の他、保存会や葛巻高校郷土芸能部の協力も得ながら、神楽を守り続けている。
4校合同「つながる」絆合唱団
岩手県の沿岸地区にある4つの高校(久慈高校・宮古高校・釜石高校・高田高校)による合同合唱団。沿岸地区の合唱文化を盛り上げるため、また震災復興への願いを込めて2022年度に結成。「つながる」絆コンサートの企画の他、京都府、宮古市などで歌声を披露している。
東北の夢プロジェクト2024 楽しいオーケストラin福島 交流イベント
請戸の田植踊【請戸芸能保存会】(5月12日訪問)
双葉町で開催した日本フィルの木管五重奏の演奏会に、請戸芸能保存会会長の佐々木繁子さんをお招きしました。演奏会の前には、日本フィルのメンバーと佐々木さんとで懇談の時間を設けました。田植踊を継承すべく、精力的に活動されてきた佐々木さん。震災時の請戸地区の状況について、住民が避難を強いられる中で田植踊の伝統を繋いでいった経緯、そして現在の田植踊の活動についてお話しくださいました。今年の2月には、津波で被災した請戸地区の苕野(くさの)神社の社殿が再建され、「安波祭」で田植踊を奉納されたとのこと。今日に至るまで、ここでは語り切れないほどの多くの困難があったことと思いますが、「多くの方に助けられ、支えられてここまで来た。皆さんに感謝ですね。今度は私たちの踊りが、皆さんの心の支えになれば良いなと思っています。」と明るく前向きにお話される姿に心を打たれました。請戸の地を離れながらも、故郷に思いを馳せ、伝統を守り続けている方がいらっしゃることを、今回の東北の夢プロジェクトを通して多くの方にご紹介したいと強く実感する時間となりました。
田村市立船引中学校吹奏楽部(6月25日訪問)
田村市立船引中学校を日本フィルの金管五重奏のメンバーが訪問し、吹奏楽部に楽器指導を行いました。指導したのは、金管五重奏の楽器(トランペット・ホルン・トロンボーン・チューバ)とユーフォニアム。初日のクリニックは放課後の時間帯にそれぞれ教室に分かれ、基本的な楽器の持ち方や音の出し方を中心に指導しました。翌26日のクリニックは、田村市文化センターのリハーサル室などで、実際に演奏する曲に対する実践的な指導に熱が入ります。というのはこの日の午後、「田村市地域ふれあいコンサート」(田村市教育委員会主催)が開催され、船引中学校の単独ステージと、それに日本フィルが加わった合同ステージ、日本フィル金管五重奏の単独ステージが、市内全中学校の3年生と地域の方々を対象に披露されました。楽器毎のクリニックの後は合奏練習です。楽員がそれぞれのパートの中に入って、生徒の横で一緒に演奏しました。間近でプロ奏者の音を聞きながらの演奏は、きっと刺激的だったことでしょう。吹奏楽部のはつらつとした演奏には、客席から温かい拍手が送られ、8月11日の本番への期待が大きく膨らむ交流イベントとなりました。
請戸の田植踊(請戸芸能保存会)
請戸の田植踊りは、江戸時代末期から続く民俗芸能。延喜式内社の「苕野(くさの)神社」の「安波祭(あんばさい)」に海上安全・豊漁豊作を祈り奉納されてきた。東日本大震災の津波で苕野神社、衣装、道具の全て流失。さらに原発の事故によって浪江住民は強制避難を強いられ散り散りになったが、震災5ヶ月後に活動再開。震災の翌年の2月の安波祭の日に合わせて、福島市、二本松市の仮設住宅へ訪問し、被災している方を励ます活動を6年間続け、県内のイベントの他、明治神宮、出雲大社、伊勢神宮にも奉納している。そして東日本大震災から13年迎える2024年2月18日、苕野神社が再建され、新社殿の竣工式奉告祭と安波祭にて田植踊の奉納が叶った。
田村市立船引中学校吹奏楽部
船引中学校吹奏楽部は、音楽や楽器の好きな生徒が集まり、毎日一生懸命練習し、「聞いてくれる皆さんに感動を与えること」を目標としている。昨年度は、全日本マーチングコンテストに2年ぶりに出場することができた。