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被災地に音楽をin南相馬2023 レポート

2023-12-15
被災地に音楽を

被災地に音楽をin南相馬2023(9月23日~24日)

福島県南相馬市は、日本フィルの活動拠点である杉並区の交流自治体であり、災害時相互援助協定を結んでいる地域です。日本フィルは2011年から南相馬市の訪問を継続しています。昨年に引き続き、今年も原町第一中学校(以下、原一中)の吹奏楽部を訪問しました。

昨年は部員数の減少を心配していましたが、今年はなんと20名近くの1年生が入部したとのこと。新しい部員の皆さんと、昨年も交流をした上級生の皆さんに会えることをとても楽しみにしながら南相馬の地に足を踏み入れました。

今年は、原一中にて楽器クリニック及び吹奏楽部&日本フィルの合同コンサートを開催しました。

2023 9月23日 楽器クリニック

午前中は各パートに分かれてクリニック。「今日はよろしくお願いします!」と子どもたちがパートごとに楽団員に挨拶をして、レッスン部屋に誘導してくれます。メッセージカードをいただき、笑みがこぼれる楽団員。吹奏楽部の皆さんの心遣いに、いつもこちらが元気をいただきます。

今回は、木管五重奏の楽器(フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン)に加え、トロンボーン、パーカッションの楽員が訪問し、指導を行いました。

事前に子どもたちから普段の練習の中での悩みや、何を日本フィルに指導して欲しいか聞き取りを行いました。パートごとに、白熱した指導が2時間半ほど続きます。新入部員も多くいるため、基礎指導もみっちり行った他、部活で取り組んでいる楽曲も指導しました。

子どもたちの真剣な眼差しに、楽団員も白熱した指導で応えていきました。 

20239月23日 合同ステージリハーサル

午後は、原一中と日本フィルの合同ステージのリハーサル。楽員がそれぞれのパートに入り、子どもたちの隣で一緒に演奏しました。プロの演奏家の音を間近で聴きながら演奏することは、この活動の醍醐味です。楽員から全体に対する音楽的な指導も行われました。言葉を用いるだけではなく、楽器を使って“音で”指導することで、子どもたちとコミュニケーションを図っている姿が印象的でした。

2023年 9月24日  南相馬市立原町第一中学校吹奏楽部& 日本フィルハーモニー交響楽団アンサンブルコンサート

いよいよ合同コンサート本番の日。朝から合同演奏曲のリハーサルを行い、ぎりぎりまで練習をしていきました。

体育館が開場すると、当初の予想をはるかに超える多くのお客様が来場され、観客用の椅子が追加されました。

第1部は日本フィルの木管五重奏のアンサンブルステージ。本格的なクラシックの作品から映画音楽、懐かしい日本の歌などバラエティに富んだ楽曲をお届けしました。

第2部は原一中と日本フィルの合同ステージ。アンコールも含め5曲を演奏し、原一中と日本フィルの弾けるような溌剌としたサウンドが体育館に広がりました。

【来場者アンケートより】

・素晴らしい演奏に感謝いたします。生演奏を聴かせていただいたこと、また子どもたちに体感と経験の機会をいただけたこと、心から感謝いたします。

・10年以上指導をしてくださり感謝です。これからも子どもたちのためにご指導をお願いします。

・力強いコンサート、元気をいただきました。

・日フィルの皆さんへ、また南相馬市に来てください。とっても良い時間をいただきました。ありがとう!

・日本フィルさんへ、これからもずっとこの地区の発展のため、一中のために続けてください。

コンサートの後は、子どもたちと楽員でささやかな交流の時間を持ちました。コロナ禍を経て、昨年から定期的な交流を再開させることができ、子どもたちと日本フィルの関係もより強いものになったように感じます。日本フィルが帰りのバスに乗り込むと、子どもたちが外まで出て、姿が見えなくなるまでお見送りをしてくれました。

原一中の吹奏楽部といえば、その活動を地域の方が温かく応援している姿が印象的です。私たちはこれからも地域の音楽文化を担う原一中の活動を応援し続けます。