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プレトーク「本日の聴きどころ」金曜18:30~ 土曜13:20~
指揮:広上淳一[フレンド・オブ・JPO(芸術顧問)] チェロ:カミーユ・トマ
ファジル・サイ:チェロ協奏曲《Never give up》 op.73 ショスタコーヴィチ:交響曲第15番 イ長調 op.141
S席 ¥9,500 A席 ¥8,000 B席 ¥7,000 C席 ¥6,000 P席 ¥5,000 Ys席 ¥2,500
Ys席:25歳以下の方が対象のお席です。S席以外から選べます。
広上淳一 インタビュー日本フィルハーモニー交響楽団 第777回東京定期演奏会にむけて
──年明け1月の東京定期では、20世紀ロシアを代表する作曲家ドミトリ・ショスタコーヴィチ(1906~75)が最晩年に書いた傑作、交響曲第15番(1971年作曲)をお愉しみいただきます。聴きやすいのに謎めいた不思議な曲と言いますか‥‥おもちゃ箱のようでもありながら、のぞき込んでみると深淵が広がっているような、とても面白い作品です。
ずいぶん昔、この作品に興味を持って勉強して、新日本フィルで指揮したことがあるんです[2004年2月、第366回定期演奏会]。その時とは全然違う心境で振ると思います。自分もいま70歳近くなってきて、この曲にあらためて何か共感するものを覚えるんです。 この曲の第1楽章には、ロッシーニの《ウィリアム・テル》序曲の引用が出てきたりするんですよね。
──広上さんが新日本フィルで指揮されたときは、コンサートの最初にその《ウィリアム・テル》序曲を置いてらっしゃいました。これは、ショスタコーヴィチの息子さんいわく〈父が子供の頃、最初に好きになったメロディ〉だそうで、おもちゃ屋さんで小さな兵隊さんの人形がラッパを吹きながら行進する‥‥といったイメージらしいのですが、作曲家の幼年時代の幻想がフラッシュバックするわけですね。
あれだけ壮大な作品をたくさん書いて、何度も命の危険にさらされる苦しみを経験したショスタコーヴィチが、人生の最後にこんな交響曲を書いた。ここにあるのは、ある種の〈虚無感〉であり〈諦念〉でもある。 凄いオペラをたくさん書いたリヒャルト・シュトラウスが、晩年に〈四つの最後の歌〉とか削ぎ落としたような美しい音楽を書くようになったのを思い出すんですが、ショスタコーヴィチの場合、交響曲の最後となるこの第15番では、自分の身体を骸骨にして見せたような気がするんですね。
──アダージョ楽章ですとか、終楽章のエンディングですとか、ちょっと不気味なハーモニーが響くなかに打楽器セクションが乾いたリズムを重ねていくあたり、言われてみると〈死の舞踏〉のようにも聴こえますね。
打楽器の合奏で静かに終わってゆく‥‥そこで響くスネアドラム[小太鼓]のリズムなんて、まるで『スパイ大作戦』みたいですが(笑)、ショスタコーヴィチほどの男が、最後を打楽器だけで静かに終わらせるというのは、深いことなんですよ。そこには、〈世界は昔に比べてこれだけ便利な時代になったのに、どうして人間は幸せになれていないのか‥‥〉という問いかけも響いている。
──かたかたかた‥‥という無機質なリズムが、チェレスタの澄んだ和音ひとつでふと終わる、この交響曲のエンディングは静かなのに怖いですね。広上さんの言葉をお借りすれば、時間の流れに抗しきれない生の〈諦念〉のようで。
正にそういうことです。
──葬送行進曲のようなコラールが響く第2楽章の厚い響きですとか、皮肉めいたスケルツォ楽章の不気味な躍動感ですとか、パワフルな響きの厚みから室内楽的な美しさまで、オーケストラ表現の幅広さを語り尽くすような傑作交響曲です。先ほどの《ウィリアム・テル》序曲の引用だけでなく、ワーグナーや過去の自作からの引用をはじめ、イニシャルを音化したモチーフが響いたり‥‥謎が謎を呼ぶ音楽には、聴き手の想像力もかきたてられます。
自分の人生を振り返ってみても、予期しなかったことが良い結果に結びついたり、逆もあったりします。私も若くはないので、人生の終末というものも考えなきゃいけないわけですが、音楽家としては悔しさがあるわけですよ。〈もっと出来るはずだ〉とか〈もっと能力を鍛えるべきだった〉とか。あるいは逆に、〈いやそんなことはない、無理してここまで来れたんだ〉とも思ったりして、両方の思いが交錯するわけです。‥‥そこにある自分の〈諦念〉や〈ノスタルジー〉といったものが、この交響曲第15番にも重なり、当てはまるような気がしている。
──今年はショスタコーヴィチ没後50周年、来年は生誕120周年にもなりますから、激動と苦難の時代を生き抜いた作曲家が、最後に遺したものをぜひ体感していただきたいと思います。そしてコンサート前半では、トルコの鬼才ピアニストにして作曲家、ファジル・サイ(1970~)のチェロ協奏曲《Never Give Up》(2017年)をお聴きいただきます。今回もソロにお迎えするパリ生まれのチェリスト、カミーユ・トマさんが世界初演された作品です。
トマさんは素敵なチェリストですよ。彼女がぜひこの曲を、と希望されたので、ぜひと。サイは凄い才能ですから。彼が20歳くらいの時にシアトルで初めて共演して、その頃から〈いずれは作曲を主にしたい〉と言っていましたけど、ピアノも完璧なテクニックを持っていて上手いし作曲も凄い。穏やかな中にも非常に激しいものを持った、細かいところまで感じ取りながら大きく俯瞰して捉えられる、素晴らしい音楽家です。
──この《ネヴァー・ギブ・アップ》という曲は、ヨーロッパとトルコで起きた痛ましいテロ事件に焦点を当てた作品です。悲歌を挟んで最後は〈希望の歌〉で終わるコンチェルトは、正にタイトルに込められた〈自由と平和への叫び〉を響かせますが、ショスタコーヴィチ作品と併せることで、照らし合うものも深いと思います。
そして、個人的な話になりますけど、メンバーの中里州宏くん[トランペット]が、この演奏会を最後に退団となるんです。僕とは大学の学年がひとつ上で、僕がコンクール[現:東京国際指揮者コンクール]で日本フィルを振ったときには入団していて、僕の指揮で吹いてくれた。当時、僕の大学[東京音大]からプロフェッショナル楽団に就職した人は数少なかったんですが、あれから40数年ずっと吹き続けてきたというのは、大変なことなんです。それで〈最後はお前の定期にするからな〉って言ってくれるのは、僕にとって本当にありがたい名誉だと思います。
【プレ70周年シーズン年間定期会員券】(第773回~第778回) 2025年5月28日(水)10時 発売
S席 ¥34,200 A席 ¥29,100 B席 ¥25,200 C席 ¥21,300 P席 ¥16,200[全5回] Ys席 ¥10,800
定期会員特典の詳細はこちら
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術等総合支援事業(公演創造活動))|独立行政法人日本芸術文化振興会
協賛:株式会社ウテナ、鹿島建設株式会社、TANAKEN株式会社、ホッカンホールディングス株式会社、三井不動産株式会社、UBE株式会社
※未就学児のご入場はご遠慮ください。
【託児】
託児サービス(事前申し込み制・有料。締切は公演の1週間前)イベント託児®マザーズ TEL : 0120-788-222(平日10:00~17:00)オープン 構成オプション
指揮:小林研一郎[桂冠名誉指揮者] ヴァイオリン:千葉清加[アシスタント・コンサートマスター] ヴィオラ:安達真理[客演首席奏者]
モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 K.364 ―渡邉曉雄先生を偲んで シベリウス:交響曲第2番 ニ長調 op.43
指揮:小林研一郎[桂冠名誉指揮者] チェロ:宮田大
グリンカ:歌劇《ルスランとリュドミラ》序曲 チャイコフスキー:ロココ風の主題による変奏曲 イ長調 op.33 ドヴォルジャーク:交響曲第9番《新世界より》 ホ短調 op.95 B.178
指揮:飯森範親 ピアノ:古海行子*
グリーグ:ピアノ協奏曲* ドヴォルジャーク:交響曲第9番《新世界より》
指揮:西本智実 ヴァイオリン:金川真弓
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.61 ドビュッシー:小組曲 ラヴェル:ボレロ
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.61 ドビュッシー(ビュッセル編曲):小組曲 ラヴェル:ボレロ
指揮:太田弦 ピアノ:牛田智大
ショパン:ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 op.21 チャイコフスキー:交響曲第5番 ホ短調 op.64
指揮:山田和樹 バリトン:加耒徹* ソプラノ:熊木夕茉** 合唱:東京音楽大学、ハルモニア・アンサンブル***
ドビュッシー:バレエ音楽《遊戯》 武満徹:マイ・ウェイ・オヴ・ライフ −マイケル・ヴァイナーの追憶に−* ,*** ラヴェル:ボレロ プーランク:スターバト・マーテル**,***
※曲目追加のお知らせ