第33回(2025年度)渡邉曉雄音楽基金 音楽賞・特別賞受賞者
◆音楽賞 出口 大地
◆特別賞 宮澤 敏夫
■略歴 第17回ハチャトゥリアン国際コンクール指揮部門で日本人初の優勝。クーセヴィツキー国際指揮者コンクール最高位及びオーケストラ賞受賞。大阪府豊中市生まれ。関西学院大学法学部、東京音楽大学指揮科に学び、2023年ハンスアイスラー音楽大学ベルリン指揮科修士課程修了。ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団、アルメニア国立交響楽団等の指揮を経て、2022年7月、東京フィルハーモニー交響楽団定期演奏会で日本デビュー。リエージュ王立フィルハーモニー管弦楽団アシスタントコンダクター(2024/5シーズン)。広上淳一、C.エーヴァルト、P.ヤルヴィ、D.ラニクルズ、井上道義、沼尻竜典、下野竜也各氏らの薫陶を受け、ベルリン放送交響楽団ではV.ユロフスキ氏のアシスタントを務めた。
【授賞理由】
出口大地氏は1989年生まれ。2021年、第17回ハチャトゥリアン国際コンクール指揮部門にて日本人初の優勝、同年クーセヴィツキー国際指揮者コンクールで最高位入賞、オーケストラ特別賞も受賞。若手指揮者の中でも、国際コンクール受賞の成果で一躍脚光を浴び、急速に活動の場を広げたことは注目に値する。ハチャトゥリアンの作品の解釈を得意としながら、拠点をドイツ・ベルリン及び東京におき、2022年東京フィルハーモニー交響楽団定期演奏会での日本デビュー以来、日本でも積極的に活動の場を広げている俊英である。このように出口氏は、キャリアの当初より国際的に活動を重ね、真の「国際的な指揮者」へと確実に歩みを進めている。日本を代表する指揮者としての益々の成熟を大いに期待し、渡邉曉雄音楽基金音楽賞を授与するものである。
■略歴 1943年台北生まれ。1966年、武蔵野音楽大学卒業と同時に大阪フィルハーモニー交響楽団に入団し、首席コントラバス奏者として活躍。和歌山音楽振興会を主宰し、地域文化の振興にも尽力。1986年には大阪フィル事務局長に就任し、経営再建に取り組む。2004年からは札幌交響楽団の再建を担い、「北海道の宝」と称されるまでに発展させた。日本演奏連盟や全国公立文化施設協会でも要職を務めたほか、地方音楽祭の企画・運営を通じて若手育成と地域文化の活性化を推進。2014年からは伊那文化会館館長、2019年からは富士山静岡交響楽団専務理事として、同楽団を2024年に日本オーケストラ連盟正会員へ導いた。2025年1月、81歳で逝去。
2025年1月に惜しくも逝去された宮澤敏夫氏は、大阪フィルハーモニー交響楽団の首席コントラバス奏者を経て、1986年、楽団再建のため同団事務局長に就任。以来、オーケストラでの演奏、運営の実績を活かし、2004年に札幌交響楽団事務局長に就任し、日本のオーケストラとして初の楽団公益財団法人化や海外公演に取り組んだ。また2018年には静岡交響楽団の専務理事に就任、浜松フィルハーモニー交響楽団との合併や楽団の公益財団化(公益財団法人富士山静岡交響楽団の設立)に大きく寄与した。オーケストラ・プレーヤーとしての存在感も活かし、日本演奏連盟事務局長、各地音楽祭や公共ホールの館長も歴任するなど、長年にわたって日本のオーケストラ界の発展に様々な立場から多大な貢献を果たされた。そのご功績は、渡邉曉雄音楽基金特別賞を受賞するにふさわしい。謹んで哀悼の意を捧げるとともに、故人のご冥福を心よりお祈り致します。
渡邉曉雄音楽基金 受賞者一覧第1回 (1993年度) 音楽賞:大野和士 特別賞:延命千之助第2回 (1994年度) 音楽賞:広上淳一 特別賞:村川千秋第3回 (1995年度) 音楽賞:該当者なし 特別賞:小川昂、鈴木清三、田中諄第4回 (1996年度) 音楽賞:高関 健 特別賞:該当者なし第5回 (1997年度) 音楽賞:該当者なし 特別賞:佐治敬三第6回 (1998年度) 音楽賞:金 洪才 特別賞:石丸寛第7回 (1999年度) 音楽賞:沼尻竜典 特別賞:松原千代繁第8回 (2000年度) 音楽賞:大友直人 特別賞:長岡實、江藤俊哉第9回 (2001年度) 音楽賞:該当者なし 特別賞:該当者なし第10回 (2002年度) 音楽賞:下野竜也、藤岡幸夫 特別賞:上原正二第11回 (2003年度) 音楽賞:佐渡 裕 特別賞:渡邊正治、山本直純第12回 (2004年度) 音楽賞:阪 哲朗 特別賞:三善晃第13回 (2005年度) 音楽賞:飯森範親 特別賞:草刈津三第14回 (2006年度) 音楽賞:該当者なし 特別賞:金山茂人、大川内弘第15回 (2007年度) 音楽賞:上岡敏之 特別賞:小野寺昭爾氏、日本フィル九州公演連絡会議(団体)第16回 (2008年度) 音楽賞:該当者なし 特別賞:岩城宏之第17回 (2009年度) 音楽賞:該当者なし 特別賞:ジャン・フルネ、財団法人アフィニス文化財団第18回 (2010年度) 音楽賞:該当者なし 特別賞:若杉弘、日本近代音楽館第19回 (2011年度) 音楽賞:該当者なし 特別賞:小澤征爾 特別支援:仙台フィルハーモニー管弦楽団第20回 (2012年度) 音楽賞:山田和樹 特別賞:中藤泰雄第21回 (2013年度) 音楽賞:該当者なし 特別賞:永田穂第22回 (2014年度) 音楽賞:該当者なし 特別賞:児玉幸治第23回 (2015年度) 音楽賞:川瀬賢太郎 特別賞:ユベール・スダーン、秋山和慶第24回 (2016年度) 音楽賞:該当者なし 特別賞:アレクサンドル・ラザレフ、池辺晋一郎、井上道義第25回 (2017年度) 音楽賞:該当者なし 特別賞:外山雄三、堤剛第26回 (2018年度) 音楽賞:該当者なし 特別賞:エリアフ・インバル第27回 (2019年度) 音楽賞:該当者なし 特別賞:本名徹次、山田正幸第28回 (2020年度) 音楽賞:沖澤のどか 特別賞:豊田泰久第29回 (2021年度) 音楽賞:鈴木優人・原田慶太楼 特別賞:該当者なし第30回 (2022年度) 音楽賞:太田弦 特別賞:飯守泰次郎第31回 (2023年度) 音楽賞:該当者なし 特別賞:田中正樹第32回 (2024年度) 音楽賞:該当者なし 特別賞:西山信雄第33回 (2025年度) 音楽賞:出口大地 特別賞:宮澤敏夫