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【訃報】名誉指揮者 ジェームズ・ロッホラン氏

2024.06.25

日本フィルハーモニー交響楽団 名誉指揮者のジェームズ・ロッホラン氏が6月19日に逝去されました。92歳でした。

日本フィルとは1980年5月の定期演奏会で、オール・ベートーヴェン・プログラムで初共演、以来26年に渡り継続的に指揮台に登場し、数々の心に残る演奏会を行いました。1993年9月には客演常任指揮者(のちに首席客演指揮者に改称)に就任、ベートーヴェン、ブラームス、マーラーをはじめ、幅広いレパートリーで日本フィルの演奏にクリアで爽やかな風を吹き込み、レパートリーの充実に寄与しました。2006年名誉指揮者の称号を授与。

お国ものであるイギリス音楽では、エルガーの交響曲第1番の日本初演(1980年)をはじめ、ヴォーン=ウィリアムズ、ウォルトン、ディーリアス等、多くの作品の魅力を紹介。中でも、ハレ管弦楽団とのアルバムがゴールド・ディスク賞を受賞しているホルストの《惑星》は、日本フィルでも何度も取り上げ、多くのお客様に深い感動を残しました。

第21回九州公演(1996年)、北海道公演(1999年)といった長いツアーにも出演、来日の際はヴィオラ奏者のリュドミラ夫人と常に一緒で、ご夫妻と日本フィルは家族のような関係を築きました。あたたかく人間的だったマエストロとの思い出が次々とよみがえります。

マエストロに改めて深い感謝をささげるとともに、ここに謹んで哀悼の意を表します。

ジェームズ・ロッホラン[名誉指揮者] James LOUGHRAN 

スコットランドのグラスゴーに生まれる。クレンペラー、ジュリーニ、ボールドが審査員を務めたフィルハーモニア管弦楽団主催の指揮者コンクールに優勝。その後英国の大部分のオーケストラを指揮、またコヴェント・ガーデン、サドラーズ・ウェルズでオペラ・デビューも果たし、ベンジャミン・ブリテンにより英国オペラグループの音楽監督に任命された。BBCスコティッシュ響の首席指揮者として、エディンバラ音楽祭に毎年出演。1970年、バルビローリの後任としてハレ管の芸術監督兼首席指揮者に就任。同管弦楽団とストックホルムからシドニーに至るまでのツアーを行い、マンチェスターの公演では最大観客動員数を記録した。またCDではEMIからゴールド・ディスクを受賞したほか、ベートーヴェン、ブラームス、エルガーの交響曲全集に対して世界的な評価を得ている。その後イギリス人として初めてドイツのメジャー・オーケストラのバンベルク響首席指揮者に迎えられ、各地へツアーを行う一方、ストックホルム・フィル、BBC響とも親密な関係を保ち、特にBBC響とはヘンリー・ウッド・プロムスのラスト・ナイトに5回も出演している。BBCウェールズ・ナショナル響の首席指揮者としても、数多くのTV番組を制作すると同時にツアーも多く行っている。また、ロンドン・フィルやスコットランド室内管とも日本ツアーを行う。近年ではスカンジナヴィアやヨーロッパ本土のオーケストラを中心に活動を行い、1996年7月よりデンマークのオーフス響首席指揮者に就任。日本フィルには1980年以来たびたび客演し、1993年9月首席客演指揮者に就任。

(2006年11月日本フィル東京定期演奏会のプロフィールより)