2023年度ミュージック・ペンクラブ音楽賞の授賞式が行われました。日本フィルはオペラ・オーケストラ部門を受賞しました。[受賞のお知らせ]
カーチュン・ウォンよりメッセージ
皆さん、こんにちは。日本フィル全員を代表いたしまして、ご挨拶申し上げますとともに、ミュージックペンクラブの皆様へ、大変な栄誉を賜りましたこと、心より御礼申し上げます。私たちの旅路は昨シーズン始まったばかり。これからも一層高みを目指し冒険に挑んでまいります。演奏会など様々な場でお目にかかれますよう、楽しみにしています!
賞状・盾の授与/平井俊邦理事長によるご挨拶
この度は栄誉あるミュージック・ペンクラブ音楽賞を賜り誠にありがとうございます。
我々日本フィルといたしましては、2年後の楽団創立70周年を控える中で、記念すべき年へ向けた、大変大きな飛躍の糧をいただいた気がいたします。この場をお借りしまして、改めて選考委員の皆様、ならびに、日々、日本フィルを応援してくださっているお客様に、深く感謝申し上げます。
さて、日本フィルハーモニー交響楽団は、昨年よりシンガポールの俊英カーチュン・ウォンを首席指揮者に迎え、マーラーや伊福部昭といった作曲家を中心に既に数々のコンサートを共演。おかげさまで高評価を得、今回の受賞に繋がったと認識しております。ウォン自身は非常に勤勉とも言える実直さで楽譜と対峙し、例えばオーケストラが何十回何百回と演奏した曲であっても、作品の新たな側面を照射し、聴き手と奏者双方に驚きと喜びをもたらしてくれます。特にウォン自身がライフワークと位置付けるマーラー作品においては、この作曲家の、複雑で時には常識を逸した表現にも深く踏み込み、オーケストラから説得力に満ちた響きと表現を引き出してくれました。とりわけ昨年10月の東京定期演奏会における第3番の演奏が、圧倒的な成果としてお客様ならびに評論家の皆様より極めて高く評価して頂けたことは、記憶に新しいところでございます。また伊福部昭作品を中心にアジア作品にも深く傾倒。シンガポール出身の指揮者と日本のオーケストラという、クラシック音楽の源流からは外れた者同士であるからこそ持ち得る「視点」を重視し、アジア圏の音楽を開拓してまいります。
今後も日本フィルは、優れた音楽芸術の創出を目指し、卓越した演奏力と、練り上げられた企画による良質な作品の上演を通して、「日本フィルらしさ」を表現し、お客様にも満足度の高い演奏会を提供いたします。首席指揮者就任2年目を迎えるカーチュン・ウォンを中心に、日本フィルならではの個性を軸に定期演奏会の聴衆増加に努めてまいります。
またフレンド・オブ・JPO広上淳一とは新たなセミ・ステージ形式によるオペラ・プロジェクトを開始。まずは来年4月にヴェルディのドラマティックな作品《仮面舞踏会》をサントリーホールにおいて上演いたします。
また、桂冠指揮者小林研一郎や、ポストこそは外れたものの深い絆に結ばれた山田和樹をはじめ、内外の著名かつ優れた表現者たちとの共演を通し、優れた芸術作品をバラエティ豊かにお届けいたします。
日本フィルは、過去から一貫して、芸術性の追求のみならず、社会性を兼ね備えたトップ楽団として活動してきました。東日本大震災以来地道に継続してきた「被災地の音楽を」の活動をはじめとして、社会からの多様な要請に対し感度を高く持ち、社会における新しいオーケストラ像を作っていきます。芸術性と社会性。この多様な在り方こそが今の日本フィルであり、今後もこの活動基盤を堅持しつつミュージック・ペンクラブ音楽賞の名に恥じないプロフェッショナルなオーケストラとして活動を続けてまいります。
この度は誠にありがとうございました。