作曲家の尾高惇忠氏が2月16日、大腸がんのため東京都内の病院で逝去されました。76歳、東京都出身。 日本フィルハーモニー交響楽団は2016年3月東京定期において、日本フィル・シリーズ第41作あたる尾高氏の「ピアノ協奏曲」を愛弟子である広上淳一氏の指揮で初演。2018年7月東京定期では同じく広上マエストロの指揮で尾高賞受賞作でもある大作「交響曲~時の彼方へ~」を演奏いたしました。 尾高惇忠氏の父 尚忠氏は主に第二次世界大戦前後のN響と重要な仕事を行った指揮者であり作曲家。弟 忠明氏も現代日本の楽壇を背負ってきた文字通りのマエストロです。 惇忠氏ご自身はフランスで学び長年にわたって東京藝術大学で教鞭をとってきました。寡作ながらもインテリジェンス溢れる洗練された書法に裏打ちされた作品は、国内外で極めて高く評価されています。いわゆる「前衛」と呼ばれる実験的要素やスペクトル楽派のような音響分析やノイズを駆使するのではなく、あくまでも伝統的な五線譜による記譜に基づき、それでいて因習に寄らない確固たるメチエを確立した作曲家でした。 改めまして尾高惇忠氏のご冥福をお祈り申し上げます。
撮影:山口敦
2021年2月22日 日本フィルハーモニー交響楽団