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日本フィルに資本性劣後ローンが導入されました

2020.12.21

資本性劣後ローンの導入について

 

資本性劣後ローン概要

融資元:商工組合中央金庫(副都心営業部)
金 額:2億円
期 限:10年
返 済:期限一括償還
条 件:無担保、無保証

 

日本フィルは新型コロナウイルス感染症の影響により、経営面で大きな打撃を被りました。年間予定公演数の半分、約70公演が中止となり、その後も諸規制により本業の演奏収入は激減、来期以降も通常通りに戻ることは難しい状況にあります。こうした中で、これからの日本フィルの事業継続を確かなものとするためには、大きく毀損されたバランスシートを早期に回復すること、今年度・来年度以降の活動資金を安定的に確保すること、また、社会変化に対応する強い財務体質を作ることが急務と考え、資本性劣後ローンの導入を検討しておりましたが、このたび商工組合中央金庫による本ローン2億円が実現されました。日本フィルの音楽活動と経営に対する商工中金(副都心営業部)の深い理解によって実現したものであります。この間、緊急融資により後押しを頂いた三菱UFJ銀行、りそな銀行と、本制度導入にご理解とご尽力を頂きました皆様にも心より御礼を申し上げます。

資本性劣後ローンは負債であるものの金融機関からは自己資本とみなされるため、企業は債務超過を回避し融資を受ける条件を整えることができるという、緊急時の企業再生にとって大変優れた制度と言われています。本ローンが公益法人に適応されるのは今回が初めてとされ、公益財団法人である日本フィルの事業継続が確保されるのみならず、今後の経営の安定化を目指す上でも大きな力となります。併せて、今後起こりうる大災害など不測の困難に直面した場合でも、公益法人として認定されている多くの文化芸術団体の存続を可能にする、新しい道が開かれたと言えるかもしれません。

ただし資本性劣後ローンは金融機関との取引においては自己資本とみなされているものの、現在のところ、公益法人会計では正味財産とはみなされていません。今後、資本性劣後ローンが正味財産と認められるよう、各方面に訴えていきたいと考えています。

資本性劣後ローン導入により、「芸術性」と「社会性」をより一層強化できる環境が整います。日本を代表するオーケストラとしての芸術性を追求しながら、社会のための様々な音楽活動-299回に及んでいる東北地方での被災地支援活動、小中学校への音楽鑑賞教室や学校等への出張演奏、障がい者やがん患者さんのための活動、46年続く地元市民と作る九州全県でのオーケストラ公演や三世代で楽しむ夏休みコンサート等々-をさらに充実させてまいります。そしてオーケストラの社会における新たな役割と可能性を模索し、これに全力で取り組んでまいります。

どうぞ今後とも日本フィルへのご理解とご協力をよろしくお願いいたします。

 

商工中金プレスリリース
https://www.shokochukin.co.jp/assets/pdf/nr_201221_02.pdf