日本フィルの創立指揮者であり、我が国のオーケストラ文化発展に多大なる貢献を果たした渡邉曉雄(1919-1990)が今年生誕100周年を迎えました。6月22日は彼の命日であり、また日本フィルの創立記念日でもあります。 この特別な日を最後の愛弟子藤岡幸夫の指揮、渡邉ファミリーのピアノ、そして日本フィル協会合唱団のコーラスとともに、日本フィルのテーマ曲ともいえる「フィンランディア」、第1回定期演奏会(1957年)で演奏されたガーシュウィンのピアノ協奏曲、渡邉がその音楽の普及に尽力したシベリウス、マーラー、邦人作品を演奏しました。 公演の第1部には、生前ご親交の深かった、上皇上皇后両陛下のご臨席を賜りました。 上皇陛下は学習院中等科ご在学中に渡邉曉雄指揮の演奏会をご鑑賞になったことがあります。また、上皇后陛下は大学生時代から渡邉家とご交流があり、日本フィルハーモニー交響楽団第1回定期演奏会から会員としてご鑑賞になっています。
2時間半にわたるプログラムを通して、その偉大な功績を振り返り、舞台上に飾られた渡邉曉雄の写真に見守られながら、客席もステージも共に、改めて彼が日本の音楽界に果たした多大な影響に思いを馳せました。
渡邉曉雄が生まれた1919年は、日本とフィンランドの外交関係樹立の年でもあります。本公演は外交関係樹立100周年記念公演のひとつでもあり、在日本フィンランド大使ご夫妻にもご列席いただくなど、華やかな演奏会となりました。 また、会場に展示された写真や資料の前で多くの「アケ先生ファン」が足をとめていました。
撮影:山口敦