落合陽一×日本フィルプロジェクトVol.10 《離見する音楽会》 17:00
2026年11月23日 (月) 17:00(16:30 開場 )
【落合陽一ステートメント】
我々はこれまで,耳で聴かないこと,変態すること,交錯すること,双生すること,醸化すること,遍在すること,帰納すること,変幻すること,そしてnull²すること——西洋から輸入された編成を,計算機自然の側からどのように再構築できるかを問うてきた.藤倉大氏との承前啓後継往開来三部作《Open Leaves》《Demon Dance》《Water Mirror》は,琉球,佐渡,万博を経由しながら,日本の伝統音楽をオーケストラと計算機自然の中で再帰させる試みとして昨夏に一つの到達を見た.
今年,我々はオーケストラそのものを能舞台へ運ぶ.会場は横浜能楽堂.本舞台,橋掛かり,白洲,四本柱,そして鏡板に描かれた影向の松.能舞台は単なる演奏空間ではない.それは神霊が降り立つ依代を内包した儀礼装置であり,時間と空間が二重化する場である.ここで楽団を編成し直すとき,「客席に向けて演奏する」というモダンな前提自体が問われる.能舞台では,演者は橋掛かりを通って彼岸から此岸へ至り,本舞台で舞ったのち,再び橋掛かりを戻っていく.観客はその往還を,白洲を挟んで距離をもって眺める.同じ空間にいながら,同じ時間を共有しない.
世阿弥は『花鏡』で「離見の見」を説いた.演者が自らの舞を客席から,さらに客席の外から,もう一度離れて眺める眼差し.目前心後——目は前を見ながら,心は背後にある自分自身を見る.これは舞の技法であり,同時に認識の技法でもある.私が長く考え続けてきた計算機自然において,いま最も切実な問いは,人間が自らの主体性を客体として観察する眼差しをどう保つかという問題である.AIが私を見ている.データが私を計算している.私はその計算の中の客体でありながら,なお主体としての離見を持ち続けられるか.能舞台はその問いに対する六百年前からの応答である.
演者が自分を遠くから見るように,我々も我々自身の文明と感覚を,能舞台という六百年の眼差しの装置を通じて遠くから見直す.観客と演者,自然と文化,人間と計算機,過去と未来.それらの距離を一度遠ざけ,もう一度近づける.その往還のなかで音が立ち上がる瞬間に立ち会いたい.横浜能楽堂の白洲を越えて,橋掛かりの奥から,影向の松の前に,計算機自然のオーケストラが立つ.離見の音が,いま,響き始める.
出演者
演出:落合陽一
シテ方観世流:梅若紀彰(能楽監修、出演)
シテ方観世流:梅若景英
囃子方:笛/栗林祐輔 小鼓/飯冨孔明 大鼓/大倉慶乃助 太鼓/小寺真佐人
地謡:松山隆之、川口晃平、山崎友正、鷲尾雄紀
日本フィルハーモニー交響楽団メンバー
ヴァイオリン:田野倉雅秋[ソロ・コンサートマスター]
ヴァイオリン:末廣紗弓
ヴィオラ:小中澤基道
チェロ:門脇大樹[ソロ・チェロ]
フルート:真鍋恵子[首席奏者]
曲目
ドビュッシー(富田勲):月の光
能楽「井筒」より
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンソナタ第2番《グラーヴェ》
ドホナーニ:弦楽三重奏のためのセレナードより第3楽章
能楽「嵐山」より
武満徹:エア
能楽「山姥」より
ペルト:スンマ(弦楽四重奏+舞)
ラヴェル:弦楽四重奏曲より 他
料金
[全席指定・消費税込]
SS:10,000円 ※日本フィル・READYFORのみ取扱
S:8,000円
A:6,000円
Ys(25歳以下、A席より選択)/車いす・同伴(1名まで):2,500円 ※日本フィルのみ取扱
ダイバーシティ料金(障害者手帳保持者):SS:5,000円、S:4,000円 A:3,000円 ※日本フィルのみ取扱
クラウドファンディングREADYFOR 離見する音楽会|11/23 主体と客体を乗り越える。
9/1(火)~11/30(月) [チケット、プログラムお名前掲載つきリターンは11/5(木)まで]
チケット&オリジナルTシャツコース、チケット&出演者と交流できるスペシャルイベントコース、グッズで応援!コースなどをご用意いたします。音楽会の仲間としてプロジェクトを応援してください。
https://readyfor.jp/projects/vol10
【公演の特徴】
①「見る」とは何か、「見られる」とは何か。
「耳で聴かない」ことから始まり、「変態」「交錯」「醸化」「遍在」「帰納」「変幻」——8年にわたり、落合陽一と日本フィルは、現代日本における西洋のオーケストラのあり方を問い直し続けてきました。その歩みが今年、能楽の「離見の見」——自分自身を遠くから見つめ直す眼差し——と出会います。AIに見られ、データに計算される時代に、人はどう自分を見つめ直せるのか。その問いを、能舞台という建築そのものの中で体現します。プロジェクトの8年の蓄積があったからこそたどり着けた新境地。舞台の上と外を行き来する”往還”のなかに、答えのヒントがあります。
② 能舞台の中に入る。
これまでは、伝統音楽をオーケストラの世界に招き入れてきました。今回は日本フィルのメンバーが、600年の歴史を持つ神聖な空間、横浜能楽堂に足を踏み入れます。能舞台は神に向かって奉納する場。日本フィルが「客席に向かって演奏する」という当たり前を手放したとき、何が起きるのか。シリーズ史上、最も小さい編成で、最も大きな一歩を踏み出します。
③ 能楽師が、”出演者”ではなく”共作者”として立つ。
重要無形文化財保持者・梅若紀彰の能楽監修、大倉源次郎氏の企画協力のもと、演目も演出も、能の文法そのものから組み立てられています。縦糸は「能楽」、横糸が「クラシック」。二つの芸能が同じ土俵で呼応し、一つの公演という「物語」を作り上げる、共同制作です。
④ 流れる物語は、新たな「自然」
「月」に始まり、「夜」「花」「風」「彩」。プログラムは、洋楽と能楽が交互に現れながらも、全体は途切れることのない、ひとつの情緒の旅として編まれています。その旅に吹く「風」が落合陽一の映像演出。断片のコラボレーションではなく、最初から最後まで見届けたくなる構成です。
⑤ 横浜でなければ生まれなかった舞台。
異国の文化を軽やかに受け入れてきた港町・横浜。市民の力で再建された横浜能楽堂は、2年半の改修を経て2026年に再開館したばかりです。創立70周年を迎える日本フィルにとっても、横浜は約50年前に市民の力で定期演奏会を開始し苦境から再出発した特別な地。自然をテーマに掲げるGREEN EXPO 2026を迎えるこの街で、生まれ変わった能舞台を舞台に——今、ここでしか成立しない一日が始まります。
⑥ 客席で「観る」だけでは終わらない。
リハーサル見学、出演者とのランチ&トーク、公演後の交流イベント——。 クラウドファンディングを通してご用意したのは、”観る”という枠を超えて舞台の深部まで触れられる機会です。音楽会が生まれる瞬間からその先までを共に巡り、あなたもプロジェクトの「主体」として一緒に舞台を作り上げましょう。
チケット購入
プレイガイド:
イープラス
(日本国内から:) https://eplus.jp/yoichiochiai-jpoproject_10/
(for international orders:) https://eplus.tickets/yoichiochiai-jpoproject_10/
チケットぴあ https://w.pia.jp/t/japanphil/
横浜能楽堂(窓口販売のみ9:00~18:00。施設点検日を除く)
【主催・企画・制作】公益財団法人日本フィルハーモニー交響楽団
令和8年度日本博補助事業(日本芸術文化振興会/文化庁)

【協力】ジセカイ株式会社/横浜能楽堂(公益財団法人横浜市芸術文化振興財団)/TOMITA information Hub/日本コロムビア株式会社/TBWA_HAKUHODO
【機材協賛】株式会社セイビ堂
コンサートを探す
注目キーワード
