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落合陽一×日本フィルプロジェクト VOL.9 東京公演《null²する音楽会》

発売中
開演
( 開場 )

演出・監修:落合陽一
指揮:広上淳一[フレンド・オブ・JPO(芸術顧問)]
「映像の奏者」:WOW
能楽シテ方:馬野正基、狂言方:野村万蔵 野村万之丞 野村拳之介 野村眞之介
囃子方:笛/杉信太朗 小鼓/清水和音 大鼓/大倉慶乃助 太鼓/澤田晃良(東京公演)
地謡:浅見慈一 北浪貴裕 長山桂三 小早川康充(東京公演)
進行アシスタント:江原陽子

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落合陽一
Ⓒ蜷川実花
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広上淳一
ⒸMasaaki Tomitori

※映像演出付

團伊玖磨:祝典行進曲
武満徹:訓練と休息の音楽 −『ホゼー・トレス』より−
林光:国盗り物語
菅野祐悟:軍師官兵衛
坂本龍一:THE LAST EMPEROR
藤倉大:「Water Mirror」 [承前啓後継往開来シリーズIII、委嘱世界初演]
レスピーギ:ローマの松 他

 

・料金[全席指定・消費税込]:
S席 大人¥8,000、子供¥2,500
A席 大人¥6,500、子供¥1,000
Ys席(25歳以下)・ダイバーシティ席(障害者手帳保持者)¥2,000

※子供:小学生~高校生(未就学児は入場できません)、Ys席:25歳以下の方対象/A席
※Ys席・ダイバーシティ席(障害者手帳保持者)は日本フィル・サービスセンターのみで取り扱います。
※聴覚障害のある方には振動デバイスを用いた鑑賞席をご用意します。
(限定20席程度、対象席は後日販売開始予定、日本フィルのみ取扱)
※クラウドファンディング限定席【支援チケット】のご用意もございます

■落合陽一ステートメント

日本の芸術は古来、森や水に宿る「見えざるもの」との交感を繰り返し、その交感の痕跡を、鏡や楽器、そして身体という媒体に写し取ってきた。私たちは、森羅万象の複雑さを掌握できないように、自然や生命そのものを記譜することはできない。自然とは根本的に楽譜化できないものであり、その「掴めなさ」や流動性は常に人間の表現を超えた地点でゆらぎ続けている。だが、私たちはそこにこそ日本的感性が息づき、縄文から今日に至るまで、この列島が連綿と刻んできた美学的遺伝子が潜んでいると直観している。

雨、土、風、川、海、水田、農耕、水鏡の中に立つとき、私たちは自己と他者、現実と虚構、過去と未来の境界を溶解することができる。鏡はその表面で世界を反転し、私たちが当たり前に抱いている世界認識や二項対立を超えた新しい視座を開示する。私たちが制作するのは、まさにその「鏡としての場」である。音響と映像、触覚や振動のテクノロジーを駆使し、鑑賞者の身体を水鏡のように多次元の反射空間へと拡張し、自己認識や感覚世界の輪郭を融解させるのである。

この場において、私たちは縄文の森が抱いた闇や水が語る波動、鏡が示す存在論的問いを、現代的な媒体を通じて再帰的に表象する。そこには伝統芸能における霊性、近代化の波にさらされながらも残存し続ける日本的自然観、さらには万博という祝祭空間が象徴するモダニズム的記号体系までもが重層的に響き合うだろう。人間は古来より、鏡面が映し出す世界を通じて自己と向き合い、その揺らぎの中に自己変容や再生を見出してきた。今、私たちは同じ問いを新たな技術的媒介と共に蘇らせ、鏡面の反射のなかに人間が持つ「見えざるものへの感受性」を再起動する。

この音楽会は、「null²(ヌルヌル)」という思想が象徴するように、人間が記号や言語という境界を超え、自然(ヌル)へと再び回帰する儀式である。それは同時に、現代人が自ら作り出した人工物やシステムの内部に自然を再発見し、自己を含む世界そのものを新たな生命的構造として再編する行為でもある。私たちはそこに「計算機自然(デジタルネイチャー)」という新たな自然概念を持ち込み、古典的自然観と現代の情報的環境を交差させる。テクノロジーとは、私たちが失いかけた自然との関係を再び結び直し、再統合を図るための媒体に他ならない。

サントリーホール、そして万博という場で行うこの試みは、単なる文化的イベントにとどまらず、日本文化が持ち続ける「見えざるもの」との交感という霊的遺産を、グローバルかつ同時代的に再解釈することを意味する。それはまた、私たちの生きる現代が持つ断絶や矛盾を、音楽と映像という時間芸術のなかで融解し、再統合する社会的な芸術実践でもある。

この場に足を踏み入れた者は、水鏡の反射を通じて自己と世界の境界が曖昧になり、森羅万象との再びの交感を体験するだろう。その体験こそが、私たちが万博という祝祭を介して表現しようとする、日本の新たな芸術的アイデンティティの核心に他ならない。


■ VOL.9《null²する音楽会》の特徴

●万博へ、そして万博から

2018年より続く落合陽一×日本フィルプロジェクト。これまでの取組の成果は落合陽一パビリオン「null²」の世界観に繋がっています。そしてVOL.9公演は、落合陽一テーマ事業プロデューサーによる「シグネチャーパビリオン」《null²》をテーマとした音楽会となりました。

●テクノロジーで新たな「生音楽の喜び」

「テクノロジーとは、私たちが失いかけた自然との関係を再び結び直し、再統合を図るための媒体に他ならない」。(落合陽一ステートメントより)

この音楽会では、オーケストラならではの生の音楽の「喜び」に、生成AIを用いた演出で、音楽の楽しみ方に新たな光をあてていきます。今年は、映像や風景の描写を意識した名作を選曲。自然と計算機、人間と生成AI、聴覚と視覚の隔たりと融合を描きだします。

●日本探訪企画「承前啓後継往開来」、第3弾は「能楽」がテーマ

藤倉大への新作委嘱第3弾では、能楽シテ方と狂言方、囃子方、地謡を迎え、古典作品2作品を再解釈します。水をテーマとした「田植」(狂言)、鏡をテーマとした「野守」(能)の抜粋に、オーケストラのサウンドと映像が寄り添う新作を初演します。

●あらゆる人々へ、地域へ、世代へ、世界へーオーケストラの可能性を追求

東京公演では今年も、聴覚障害のある方への振動を用いたデバイス席、子供料金やダイバーシティ割(障害者手帳保持者割引)、託児サービスなどを用意します。

■サポーター募集:クラウドファンディングで仲間になりませんか?

フィールドワークやワークショップを通した「音楽の喜びあい」を支援してくださるサポーターも募集しています。コンサート前後に公演の喜びを拡げるイベントやアイテムをつけたご支援を呼び掛けています。

ご支援はクラウドファンディング「READYFOR」で承っています。皆様とともに、音楽による「喜びの共有」をさらに拡げていきます。

・URL:https://readyfor.jp/projects/vol9

・期間:8月31日(日)23:00まで

■関連イベント

開演前にブルーローズ(小ホール)にて能楽ワークショップ、公演関連展示、ポスター展示を計画しています。また、クラウドファンディングREADYFORでは公演のGP(最終リハーサル)見学や関係者との交流会にご参加いただけるリターンをご用意しています。


■主催・企画・制作:公益財団法人日本フィルハーモニー交響楽団

*令和7年度日本博2.0事業(補助型)(独立行政法人日本芸術文化振興会/文化庁)

■協力:ジセカイ株式会社、WOW inc.、raw、TBWA_HAKUHODO、サントリーホール、ほか

■機材協賛:株式会社プリズム


※未就学児のご入場はご遠慮ください。

【託児】

託児サービス(事前申し込み制・有料。締切は公演の1週間前)
イベント託児®マザーズ TEL : 0120-788-222(平日10:00~17:00)

これまでの公演

・VOL.1《耳で聴かない音楽会》2018年4月22日 https://youtu.be/wJEKht0zix0     
・VOL.2《変態する音楽会》2018年8月27日 https://youtu.be/PJ6gJrnMRSs  
・VOL.3 Part1《耳で聴かない音楽会2019》2019年8月20日 https://youtu.be/aqDy9_Km5aM
・VOL.3 Part2 《交錯する音楽会》 2019年8月27日 https://youtu.be/jn5cg4YhRtk
・VOL.4《__する音楽会》 2020年10月13日 https://youtu.be/Ww9fLCB6-j0
・VOL.5《醸化する音楽会》 2021年8月11日 https://youtu.be/Ek-M4d_oGU8
・VOL.6《遍在する音楽会》 2022年8月25日 https://youtu.be/N9C74aZlo6I
・VOL.7《帰納する音楽会》 2023年8月23日 https://youtu.be/cB1KYHPuju4?si

VOL.8《変幻する音楽会》 2024年8月20日

Ⓒ飯田耕治