第44回九州公演 記者会見 出演者の熱い想いが語られました

第44回九州公演 記者会見

―第44回九州公演の出演者が一堂に会し、約50名の記者・関係者の出席の中、それぞれの熱い想いを大いに語りました。


(左から古賀大路[ピアノ]、萩原麻未[ピアノ]、藤岡幸夫[指揮]、横坂源[チェロ] 写真提供:熊本日日新聞社)

 

平井理事長

「九州公演は、命の源泉」、非常に大切な公演です。日本フィルの公演は地域と一緒になって、実行委員会とともに作る、市民とともに作る演奏会で、世界でも類を見ない素晴らしい財産で、文化庁にもそのすごさをわかってきてもらっています。日本の中でも類を見ない、世界でも類を見ない素晴らしい制度で、これが日本フィルの九州公演、一つの日本の財産ではないかと思っております。

 

今度の演奏は素晴らしいものになると思っておりますが、それプラス、日本フィルの持っている「人に寄り添う、心の温かさ」。寒い冬に九州で皆さんに日本フィルの演奏を聴きながら温もりを感じていただき、「来てよかったなあ」と温まる演奏会になると確信しております。これが日本フィルの特徴であります。 これを皆様に伝えていただいて、一人でも多くの方に参加していただければと思っております。今年は今まで以上に、熱気あふれる演奏会にしていきたいと思っておりますので、皆様、お力をお貸しいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

続いて、第23回公演(1998年)、第28回公演(2003年)、第35回公演(2011年)に続いての4度目の登場となる藤岡幸夫マエストロ

藤岡幸夫

2019年は日本フィル創立指揮者の渡邉曉雄さんの生誕100周年にあたります。先生はいつも、日本フィルにとって演奏旅行というのは、東京定期演奏会と同じくらい大切だとおっしゃっていました。中でも九州の演奏旅行というのは、普通じゃありえない演奏旅行なんだよと。僕が初めて九州公演に行ったのは1989年で、渡邉曉雄先生のかばん持ちで行ったんですね。その時に先生のおっしゃっていた意味がすごくよくわかって、とにかく各地地元に日本フィルを呼ぶ団体、ファンクラブ、今でいうと実行委員会の方々がいらっしゃって、それはそれはもう熱烈で。演奏もどこに行ってもものすごいテンションで。そして演奏会が終わると今度は打ち上げで、次の日のことなんか考えないくらいすごい勢いで地元の方と飲むんですね。これはすごいなー!と非常に衝撃を受けました。

そのあと私が日本フィルで日本デビューし、「指揮者」にしていただいて最初にすぐ言われたのが「さー、藤岡、九州行くぞ」と。メインの交響曲はドヴォルジャークの8番だけ振ったのですが、来る日も来る日も同じ交響曲を振りました。それがまたなかなか、やればやるほど悩みが増えてですね、大変な思いをしたのを覚えております。

演奏旅行は僕たち指揮者にとって、とにかくすごく勉強になります。1回だけならプレーヤーも何か言いたくても黙っているし、僕も何か言いたいことあっても黙っているけれど、これだけコンサートが続くとやはり気になるところをお互いに突き詰めていけるというところがあります。大変に勉強になります。そういう意味でもすごく楽しみ。何よりも終わった後の地元の皆さんとの交流をすごく楽しみにしています。おいしいお酒とおいしい食べ物もすごく楽しみです。

今回は素晴らしいソリストをお迎えしています。まずは横坂さん。ドヴォルジャークも既に一緒にやっていますが、非常にエキサイティングです。それから萩原麻未さんも一緒に何回もやらせてもらっています。とにかく横坂さん、萩原さん、ご存知の方は多いと思いますけれどもめちゃくちゃエキサイティングなタイプ。はっきりいって、めちゃくちゃスリリング。これがすごく楽しみです。実は古賀さんも4年ぐらい前に佐賀でやっています。古賀さんは古賀さんで非常にダイナミックでしっかりした演奏をされるのでとっても楽しみ。こういう言い方とても語弊があるんですけれども、一緒に協奏曲をやって、割と楽に指揮できるソリストの方っているのですが、ここにいる方々皆さん、かなりのスリルを味わわせてくださるタイプです。いい意味で言っているんですけれど。だから本当にスリリングなエキサイティングなコンチェルトを楽しんでいただけるのではないかと思います。

《展覧会の絵》はとても大切にしている曲です。この曲にはすごいストーリーがあるんです。ただ絵を表現してあるだけの曲ではないのです。公演の時はプレトークも致しますので、その時に皆さんに説明します。ムソルグスキーが貧乏で唯一の友達だった親友の画家ハルトマンが急に死んだことへの悲しみが込められた曲なので。そういう部分を説明したうえで聴いていただけると、たぶん聴こえかたが全然違うと思います。

それから《新世界より》は近年非常に研究が進んでいまして、実は《新世界より》が出版されたとき、ドヴォルジャークはアメリカにいて、校正はすべてブラームスがやったんですね。その時ブラームスが善意で音を変えてしまったと思われる個所が何か所かありまして、近年それがはっきりしてきたんですね。

僕は関西フィルと20年の付き合いがあるんですけれども、そこでは最近その音を変えた新しい版でやっているんです。今回日本フィルと演奏旅行で日本フィルと何回も取り上げられるのであればこの新しい版でやってみないかと提案しました。結構衝撃的に音が違うところが何か所かあります。聴き慣れた方には、じゃあ、どこが違うかわかる?というような。ディープなファンじゃない方はそんなのわからなくてよいですからね。どちらにも楽しんでいただけます。

なにより僕は日本フィルのおかげで指揮者になれたのですから、基本的に日本フィルが指揮研究員という形で拾ってくださらなかったら、僕はおそらく指揮者にはなれなかったです。僕が日本フィルの指揮研究員という肩書をいただいたおかげで、いろいろなコンクールとかにも出られるようになったし、チャールズ・グローブスという素晴らしい指揮者と出会えて、グローブスのアシスタントをして、僕の才能を認めてくださって、イギリスに留学することになって、ヨーロッパでデビューしたら僕をすぐに指揮者にしてくれて。この演奏旅行もそうですけれども、チャンスをたくさんくださいました。僕にしてみれば育ての親なんですね。というかもうほとんど生みの親だね。本当に日本フィルがなかったら、僕の今はないので。その日本フィルの九州演奏旅行ですから。

熊本城は僕のおじいちゃんの弟が建て直しました。瓦一枚から精巧に復元して。だからあの地震には本当に心が痛みました。実は一番被害を受けた益城の益城中学のブラバンに、僕がやっているテレビ番組の吹奏楽シリーズの収録で、あの直前、1週間か2週間前に行ってるんです。本当にあの子供たちが素晴らしいですよ、吹奏楽。そのあとにも彼らと再会しているんだけれども、いろんな思いもあります。本当に熊本にも特別な思いがあります。

絶対皆さんの印象に残る九州演奏旅行にしたいと思います。

 

―チェリストの横坂源さんは34回(2009年)以来、10年ぶりの九州公演です

横坂 源

皆さんこんにちは。チェロの横坂です。今お話しにありましたように、10年前に初めてこの日本フィルさんの九州ツアーに登場させていただいて、その時にもドヴォルジャークのコンチェルトを演奏させていただきました。少しずつコンチェルトのお話をいただいていたり、留学の動きがあったりしていた頃だったのですが、同じ曲を回数を重ねていくと、どんどん積み重なって新しい変化が伴っていくんですね。限られた中で普段はリハーサルをして、コンサート、移動という形になるんですけれど、演奏が終わった後もみんなと一緒にお酒を飲ませてもらったり、おいしいご飯を頂いたり、翌日みんなで巡りながら全力で演奏する、というのは初めてのツアーでの経験でした。それがきっかけで、なんというかコンチェルトというと室内楽的でないニュアンスを持っていらっしゃる方も多いと思うのですが、やはり大きな室内楽で、シンフォニーだったり、小編成のピアノトリオとすごく近いものがあって、大勢の方とコミュニケーションをとりながら、一つの大きなものを目指してみんなで力を合わせて作っていくという感覚でした。その時に本当に感動して、将来こういうお仕事が継続してできるように頑張っていけたらいいなとずっと思って今に至っています。このようなお話をまたいただけたことが本当にうれしく思っています。またドヴォルジャークということで、10年前から変化したもの、相当楽譜の読み方も変わりましたし、楽器も弓も、いろんなことが変わってきているので、その中でどういう演奏を九州の皆様に聴いていただけるのかな、と自分のベストの状態でもっていきたいな、と考えています。

僕も戦さは嫌いじゃないので、癒されるコンサートじゃなくて、エネルギーになるようなコンサートになるんじゃないかなと思うんですが、精一杯そこに向けて準備したいなと思います。よろしくお願いいたします。

 

―続いて九州公演には初登場となるピアニストの萩原麻未さんです。

萩原麻未

皆様こんにちは。ピアニストの萩原麻未です。この度初めて九州ツアーに参加させていただくことになったのですが、今回で44回と伺いまして小さいころからこの九州公演が行われていることをチラシとかで拝見したことがあって、私もいつか出演させていただける日がきたらいいなと思っておりました。選んでいただいて本当に光栄に思っております。コンチェルトでツアーができるというのは本当に幸せなことで、リサイタルだったり室内楽だったりでもそうですが、ツアーで毎回本番を重ねていくと、本当にその場の会場だったり、お客様だったり、曲目は同じでも本当に一期一会で新しい感覚が生まれてきます。オーケストラの皆さんとマエストロとこうして短期間で共演を重ねられるということは幸せなことだなと思うので、本当に今から楽しみです。

私が演奏するのはチャイコフスキーのコンチェルトですが、ピアノコンチェルトの中でも名曲中の名曲で、皆さん大好きなコンチェルトの一つだという方も多いのではないでしょうか。ヴィルトゥオーゾの要素もたくさんあって、華やかな曲ですけれども、優美でやさしい、いろいろな魅力がたくさん詰まった作品なので、私もオペラのようにいろいろな魅力を見つけながら毎回楽しんで弾けたらなと思います。日本フィルの皆さんとは何度もご一緒させていただいておりまして、本当に毎回すごく幸せで、皆さんの温かさを本当に感じて、いつも皆さんから幸せをいただいています。藤岡さんともご一緒させていただいていて、初めての時はモーツァルトの20番のコンチェルトだったと思うんですけれども、藤岡さんと舞台でご一緒させていただいているだけで本当に心強くて、すごく楽しくて。本番で新しいアイディアがたくさん浮かんできて。

藤岡:本番全然違ったよね。

萩原:そういう感覚になれること、本当にありがとうございます。九州の皆さんにお会いできるのを楽しみにしています。

藤岡:チャイコフスキーも彼女とやっていますけれども、すごいテンションの、すごい嵐のような何か宿っている時があるんですね。その宿っている時に僕、本番合わせられなかった時がありまして。。。今回はそのリベンジで、何か降りてきても俺はつけるぞ!と。

 

唐津は地元のピアニスト、古賀大路さんです

古賀大路

皆様初めまして、古賀大路といいます。まず、この度わたくしを九州公演の唐津公演にソリストとして推薦してくださった唐津日本フィルの会の皆様に、そして推薦を承諾してくださった九州実行委員会の皆様に本当に感謝しております。ありがとうございます。

実は10年前の日本フィル唐津公演で、私は花束係として参加させていただきました。その際、私が横坂さんに花束をお渡ししました。その時に日本フィルのヴィオラ奏者だった後藤さん(現事務長)に声をかけていただいて、2年後に後藤さんとショパンのピアノコンチェルトの室内楽版を共演させていただきました。ここに座っていることが本当に感慨深いですし、うれしいです。

私が演奏するラフマニノフのパガニーニラプソディは、先ほど藤岡さんがおっしゃっていたようにとてもスリリングな曲です。その曲を演奏できるということで、藤岡さん、日本フィルの皆さん、そしてお客様とともに、自分が頑張るだけでなく、大いに楽しみたいと思っております。藤岡さんとは、4年前佐賀にて共演させていただき、非常にいろいろなことを教えていただき、いろいろなことを学びました。その時よりも成長している姿をお見せできるように今回も頑張りたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

藤岡:ツアーの初日から最終日まで、どんどん進化を続けていけるかどうかが、指揮者の勝負どころです。この演奏旅行は、地元だけではなくて、他の場所にも聴きにいかれる実行委員の方もたくさんいらっしゃるので、良い意味で進化を続けているな、と思っていただけるように。終わった後に良い演奏旅行をやらせていただきました、と言えるように頑張りたいと思います。

 

2018年12月14日(金)15時~16時 アクロス福岡 601会議室

第44回九州公演 日本フィル in Kyusyu 2019

指揮:藤岡幸夫
チェロ:横坂源(8長崎、9佐賀、10北九州、13宮崎)
ピアノ:萩原麻未(14大分、16大牟田、17福岡、19熊本、20鹿児島)
ピアノ:古賀大路(11唐津)

※各公演の内容は公演日をクリックしてください

2019年2月8日(金)長崎市民会館(長崎)
 ドヴォルジャーク:スラブ舞曲第1番、チェロ協奏曲(横坂源)、交響曲第9番《新世界より》

2019年2月9日(土)佐賀市文化会館(佐賀)
 ムソルグスキー:「モスクワ川の夜明け」、組曲《展覧会の絵》
 ドヴォルジャーク:チェロ協奏曲(横坂源)

2019年2月10日(日)アルモニーサンク北九州ソレイユホール(福岡)
 ドヴォルジャーク:スラブ舞曲第1番、チェロ協奏曲(横坂源)、交響曲第9番《新世界より》

2019年2月11日(月・祝)唐津市民会館(佐賀)
 ドヴォルジャーク:スラブ舞曲第1番、交響曲第9番《新世界より》
 ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲(古賀大路)

2019年2月13日(水)メディキット県民文化センター(宮崎) 
 ムソルグスキー:「モスクワ川の夜明け」、組曲《展覧会の絵》
 ドヴォルジャーク:チェロ協奏曲(横坂源)

2019年2月14日(木)iichikoグランシアタ(大分)
 ムソルグスキー:序曲「モスクワ川の夜明け」、組曲《展覧会の絵》
 チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番(萩原麻未)

2019年2月16日(土)大牟田文化会館(福岡)
 ムソルグスキー:序曲「モスクワ川の夜明け」、組曲《展覧会の絵》
 チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番(萩原麻未)

2019年2月17日(日)アクロス福岡シンフォニーホール(福岡)
 ドヴォルジャーク:スラブ舞曲第1番、交響曲第9番《新世界より》
 チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番(萩原麻未)

2019年2月19日(火)市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本)
 ムソルグスキー:序曲「モスクワ川の夜明け」、組曲《展覧会の絵》
 チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番(萩原麻未)

2019年2月20日(水)宝山ホール(鹿児島) 
 ムソルグスキー:序曲「モスクワ川の夜明け」、組曲《展覧会の絵》
 チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番(萩原麻未)

※ムソルグスキー(R=コルサコフ編曲):歌劇《ホヴァンシチーナ》より序曲「モスクワ川の夜明け」
※ムソルグスキー(ラヴェル編曲):組曲《展覧会の絵》