《ザハール・ブロン氏インタビュー》4月15日サンデーコンサートに向けて

レーピン、ヴェンゲーロフをはじめ、今活躍するヴァイオリニストたちを次々と排出してきた名教師、ザハール・ブロン。樫本大進、神尾真由子、庄司紗矢香、川久保賜紀と日本人の名だたるヴァイオリニストたちもブロン門下。そして日本フィルの首席指揮者、ピエタリ・インキネンもレーピンの紹介で、ブロン先生に師事した経歴を持ちます。
4月15日のサンデーコンサート(東京芸術劇場)では、愛弟子服部百音をソリストに迎え、指揮者として日本フィルに初登場します。
そしてドッペル・コンチェルト(2挺のヴァイオリンのための協奏曲)では、ヴァイオリンも披露!どうぞご期待ください。

 

――服部百音さんはどんなヴァイオリニストでしょうか

つい最近、彼女はブラームス2番をスイスで演奏しました。私がレッスンをして、だいぶ作りこんできたのですが、ステージで聴くと、大きな発見がありました。自分の中でものすごく消化してステージに持っていくことが出来るのですね。それも才能の一つです。
百音さんや、他の私の素晴らしい弟子たちもよくあることですが、教えたこと以上のことがステージで起きます。予期せぬことがステージで、演奏に出てくる。私自身も聴衆もすごく驚くんです。それはいい意味で驚くこともあれば、賛成できない部分もあるでしょうね。でも本当の才能というのは、教えられてきたものを非常に消化して自分のものとして、ステージで(本番で)表現することができること。彼女はそれができる演奏者だと思います。

 

――レパートリーは、どのように決めていくのですか

百音さんは非常に呑み込みが早い。最初にヤマハのレッスンで彼女が来た時に、これはすごく頭のいいヴァイオリン奏者になるな、と感じました。小学校2年生でした。最初のうちは、日本とヨーロッパという地理的な問題もあって、非常に間隔が空いていました。ある時に私が「こんなことをしたら?」と普通は4、5年かかるような課題を与えたのですが、なんと7、8か月後に完璧に出来てしまいました。もちろん最初のうちはレパートリープランというものを創り上げて彼女に与えていましたが、彼女はものすごく呑み込みが速くて。プランのテンポがどんどん早まってきました。彼女の演奏を聴くと仕上がっていく程度ももっともっと広がっていくだろうな、と。余力をいつも感じることができます。

 

――インキネンさんについて。ヴァイオリニストとしても将来を期待されていたインキネンが、指揮者になったことについてはどう思いますか?

私はインキネンほどではないけれども指揮をする身として、メニューインやロストロポーヴィチなどの例があるように、指揮というのはもちろん、別の芸術だと考えていいと思います。指揮するときは指揮者としての技量、テクニックも必要なわけですよね。いかにオーケストラを率いて、導いていくか、という。ただ、インキネンのような人たちは、音楽をどう構築していくかというメカニズム、オーケストラのなかでどうやってそれを作っていけばよいかというものを、よく知っている。非常に才能のある音楽家だから、それが出来るのだと思います。音楽を上手に感じ取ることができるから、非常によい指揮者になったと。彼はヴァイオリンを弾くことで自分の音楽を表現していた。指揮をするというのは、さらに彼の言葉が広がるということではないかなと思います。

――(指揮者が)楽器を弾けるということは、オーケストラにとって説得力が全然違いますからね。

ヴァイオリンに限らず、なにかの楽器を弾けるということは指揮者にとって強みです。教えるときもそうなんです。どういう成果が表れているのかというのは、やはり楽器が弾けないとつかめない。だから私の先生たちも言葉で教えるのではなくて、弾いて教えてくれるということがよくありました。

 

――リハーサルのとき、オーケストラ曲のみのときも、楽器を近くに用意しますか?楽団員も皆期待していると思います。

あってもいいな。でも日本フィルほどのオーケストラなら必要ないんじゃないかな。
バランスをうまいこと見つけよう。プロのみなさんを侮辱するようなことはしたくないからね。

 

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ヴァイオリニストを目指している方や、ヴァイオリンの先生にもこのコンサートを通じて感じていただけるものがあるのではないかと思います。
お話しをうかがっている間に、メニューインとオイストラフとならぶ若き日のブロン先生のお写真や、まだ少年のレーピンとヴェンゲーロフのお写真など、貴重な写真もたくさん見せてくださるとても気さくなブロン先生でした。

 

そして最後に今回の演奏会で弾く予定の楽器を見せてくださいました。

一時的に借りている古い楽器とのこと。どんな音が東京芸術劇場に響くのか、楽しみです!

4月15日午後2時、池袋の東京芸術劇場で、お待ちしております。

(聞き手:企画制作部 益滿)

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