第43回九州公演 記者会見が開催されました

第43回九州公演の出演者による記者会見

 

司会:これから日本フィル第43回九州公演の記者会見を始めさせていただきます。まず、日本フィルハーモニー交響楽団常務理事・事務長の後藤朋俊よりご挨拶申し上げます。

後藤朋俊(以下後藤):本日は、お集まりいただきありがとうございます。2016年の熊本大分地震のショックが残っている中、2017年7月に集中豪雨や下江岳などの自然の災害がありました。被害に遭われた方にこの場を借りましてお見舞い申し上げます。そういう状況の中で例年同様来年2月、日本フィル九州公演を開催いただく各実行委員の皆様、またご来場いただく皆様に、深く感謝の気持ちを込めて43回の九州公演に臨みたいと思っております。始める前に、この場をお借りしまして、1つお礼がございます。2017年2月に九州各地の公演ロビーで2016年の熊本地震の被害に遭われた方々に音楽を届けたいということで「被災地に音楽を」募金をいたしました。たくさんの方からご寄付をいただき、今年の7月と10月に熊本19か所に音楽を送ることが出来ました。この場をお借りしましてお礼申し上げます。これには熊本の日本フィルの会の方々のご協力をいただきました。本当にありがとうございます。この活動はこれからも続けてまいります。
 2018年の43回の九州公演についてですが、指揮者に井上道義さん、ソリストにヴァイオリンの山根一仁さん、ピアノに反田恭平さん。個性の強い3人をお招きいたします。
 井上道義さんですが、あれこれ言うことはないというぐらい日本の指揮者の重鎮ですよね。舞台に登場されたとたんにお客様も演奏者も惹きつける。なかなかこのような指揮者はいないのではないでしょうか。2018年九州公演では、ベートーヴェンの7番とマーラーの5番を振っていただきます。マエストロは第2回目(1976年)に初登場、今回で4回目になります。76年だとマエストロ28歳。その頃は5月6月に九州公演でした。確か日本フィルの定期デビューのすぐ後に、九州だったと思います。ベートーヴェン7番とマーラー5番、マエストロとは日本フィル初めてです。皆様、楽しみになさっていてください。ソリストのお二人、山根一仁さん22歳(1995年生)と反田恭平さん23歳(1994年生)。学生時代から面識があり、つい3日前も同じコンサートに出演されていました。お二人とも札幌出身です。山根さんとは、日本フィル数多く共演しています。反田さん、今日からポーランドに行かれているとのことです。井上さん、若い山根さん、反田さん、歳の差は約50歳ぐらいでしょうか。

井上道義さん(以下井上):感じないけどね

後藤:感じないですよね、そうおっしゃると思いました。感じません。2✕歳のマエストロです。個性豊かな皆さんですので、どんな音楽になるか楽しみにしております。

司会:ではマエストロ、お話をお願いいたします。

井上:忘れるんですね、いろんなことを、人間は。忘れることが明日からまた何かをやろうと思うエネルギーになると僕は思うんですけれども。九州公演4回もやっていたって忘れていました。僕は4年前に中咽頭がんというものをやりました。今、元気なんですよ、本当に。九州旅行というハードなものもできるようになっています。嬉しいです。山根君は最初に会った時は、まだ14、15歳だったけど、個性豊かというよりも、面白い人で。話をしていても、色々なことが刺激的、僕にとって。僕の若い時を思い出すというか。ふざけた野郎だと思うのですが、そういうところがこれから絶対伸びる人の大事なとこです。それで幅がある。反田君も今本当に人気がある。でも彼は人気があるだけではなくて、本当に真面目で、やろうと思うことをやっているだけであって、まったく間違っていない。人気をとりたいためにクラシックをやっているのではない、というところがはっきりしている。そういう二人と一緒にやれるのがすごくうれしい。僕は歳だから、過去の話を少しすると、最初のときには渡邉康雄くんと一緒にやりました。その時は渡邉曉雄さんまだ元気だった。だけど僕の歳は今、曉雄先生死んでる歳なんです。あの方69とか70で亡くなっていて。僕もう71だから。びっくりする。えって思う。そんなおじいさんになっちゃったんだって。この間康雄さんと共演をしました。その時には日本フィルと初めてやった「幻想交響曲」をやりました。いろんなことがあったけど、忘れてることはたくさんあるんですけど、九州で初めてやったあの5月のときの、非常に盛り上がった炎のような九州旅行、本当に忘れられない。まだいろんな環境が整ってなくて、ホールもよくなくて・・・。本当にお客さんに支持されて、日本フィルも今こうやって音楽を届けたりしてる努力もあるけれど、やっぱりそれを迎えるということを日本フィルに感じていられるのは稀有なことだと思います。こんなこと言ったら怒られるけど、反田君も山根君も北海道出身だということで、北海道に昔は日本フィル演奏旅行行ってたんですよね。今ないもんね。(山根さんに向かって)作らなきゃ。日本フィルのために。反田と仕組んで。日本フィルを連れて回るというぐらいのことを考えなさい。今のあなたたちの力ならできるから。そういうノウハウを彼に植えつけてください。演奏を楽しむだけじゃなくて、山根君とか反田君というのは、将来的にはそういうクラシックをプロデュースしていく能力もあると思うから、そういう点でも演奏をする王子山根君とか、王子反田君じゃなくて、日本を背負って立てるから、みなさんのノウハウを若い人たちに植え込んでほしいと思います。これは是非お願いです。
 それからプログラムのこと。正直言うと、反田とか山根とかなら、僕の大好物のショスタコーヴィチとかやりたいな、とも思うんですが。でもそうするとちょっとお客さんが入らない可能性があるのかな。それは是非、チャレンジしていただいて。今ショスタコーヴィチというのは音楽界では主流になっています。僕は10年前日比谷公会堂でショスタコーヴィチ全曲シリーズをやったんですが、それを今CDにしました。10年かかりましたけど。日本中でショスタコーヴィチがマーラーと同じように演奏されるようになっています。彼の作品は暗い、長い、わかりにくいっていう時代じゃなくて、はっきり言ってよい演奏をすればすごくよくわかる作品がたくさんあります。確かに8番あたりは暗いし長いから避けてもいいと思うけど。例えば12番は45分で終わるわけだし。11番なんてまるで絵巻物を見ているように、音楽の詩がありますし。ヴァイオリン協奏曲もピアノ協奏曲もとっても現代的で、面白いんで、僕じゃなくてもよいから。ラザレフとかね、そういう人とでもいいし。もっと若い人でもいいから。今度ショスタコーヴィチをやってくれることを、僕は望みます。かといって僕はベートーヴェン大好きですから。頑張ります。

司会:山根さんは九州を回られるのは初めてで、これだけ長く九州に滞在されるのも初めてだと思いますので、そのあたりのことをお話いただけますでしょうか。

山根一仁さん(以下山根):みなさん、こんにちは。ヴァイオリンの山根一仁と申します。この度、43回目となる歴史ある素晴らしい取り組みに僕が携わらせていただくことは本当に光栄なことです。お招きいただいた日本フィルのみなさん、道義先生、そしてなによりも各実行委員会の皆様に感謝申し上げたいと思います。この度僕は5か所行かせていただきます。福岡は僕今日初めてです。九州はどこも食べものがとてもおいしいと、道義先生を始めたくさんの方々から伺っていたので、とても楽しみにしております。音楽の話をここで長々とするのもあれなので、僕の21年間のなかでの九州との関わりを話しますね。中学校3年生、15歳の時に、僕電車が大好きなんですけれど、ちょうどブルートレインの「はやぶさ」と「ふじ」この2つがなくなるということで、熊本まで「はやぶさ」で(「ふじ」は途中で大分の方にいきました)東京から、なくなる1週間前ぐらいの電車を朝3時ぐらいから並んでとったんですね。そのときに初めて九州にお邪魔させていただいて。本当に自然の豊かな阿蘇とか行ったんです。札幌出身ということもあって、本当に自然の中で生きるということが一人の人間として大切にしていきたいなと感じているので、その思い出というのが今も鮮明に覚えています。食べものも、馬肉とか、おいしくいただいたのも覚えています。
 今回、ブラームスとモーツァルトを演奏させていただきますが、モーツァルトは道義先生のプッシュですよね?モーツァルトは僕も好きな作品で、偶然5番というのはモーツァルトの中で一番好きなコンチェルトだったので、4回演奏させていただくことが出来るのはとても楽しみです。道義先生と演奏するときはいつも新しい、毎回新鮮なことに取り組むことが出来る。それも新しいことに取り組むことが目的ではなくて、今日も音楽を楽しもうというところから生まれてくる音楽なので、僕はそれがなによりも一緒に共演させていただくとき幸せであり、僕にとって貴重な素晴らしい体験となっています。なので4回演奏させていただきますが、どれもお約束できるのは、どれも違った、だけど、かならずモーツァルトの魅力、そして音楽を自分でいうのもなんですが、音楽を愛していて、指揮者の道義先生も本当に心から音楽を愛している方だと思うので、その音楽を好きな男たちが奏でるものを感じ取っていただけるものになると思っています。(道義先生)お好きだと思います、音楽。ブラームスですが、僕は今ドイツのミュンヘンに留学していて、1年の半分ちょっとぐらいドイツに滞在しています。ミュンヘン音楽大学というところに学籍を置いていて、この秋に3年目を始めました。以前は、ショスタコーヴィチ、ハチャトゥリアン、プロコフィエフなどのソヴィエトの作品が大好きで、今も変わらず好きですが、ドイツに住みはじめてから、バッハ、ブラームス、モーツァルト、シューベルトなどの作曲家に触れることが多くなりました。もちろん昔から勉強していましたし、偉大な曲ばかりですが、今、それらの伝統をしっかり学んで、それを僕が一人の音楽家として消化して、また新しく生み出していく。決してそれを僕の色として出したいということではなくて、本当にモーツァルトやブラームスを真摯に勉強した結果が、毎回音楽として生まれていくと僕は信じています。なので、今回も何回か弾いてきたモーツァルトやブラームスですが、また新しい気持ちで譜面と向き合って、しっかり勉強して演奏したいという気持ちでいっぱいです。

井上: 3年前になるのかな、野田秀樹さんとのフィガロの結婚で割と九州行ったんです。キャンピングカーで回った。すごくいい思いをしました。自然がすごくて。初めてだったんです、そういう体験は。全部経験している気がしているけど、初めてだったんです。今回も何か初めてのことがあると思うので、楽しみです。

(質疑応答)

―――今回、ベートーヴェンの7番とマーラーの5番とのことですが、このプログラムにしたのはなぜでしょうか。特に日本フィルでもなかなか少ないということですが、それを九州公演に持ってきた理由は。

後藤:九州公演は、九州実行委員会の方々との共同での企画制作です。みなさんからいろいろな意見が出てきました。日本フィルとしては、みなさんの意見を尊重して決めていっています。今回は、ぜひマーラー5番を聴きたい!井上さんで聴きたい!との意見がありました。ベートーヴェンは、ホールの大きさとの兼ね合いもありましたね。

井上:決して「のだめカンタービレ」があったからベートーヴェン7番じゃないってことは僕も知ってます(笑)ショスタコーヴィチはね、編成が大きいからね。小さいホールだとちょっと難しいですね。

後藤:やはり、この指揮者でこの曲が聴きたい!という強い想いがあったということです。

―――井上マエストロが山根さんの説明をされた時に「ふざけた野郎」とおっしゃっていましたが、その「ふざけた」「突き抜けた」という意味をもう少し説明いただけますでしょうか。

井上:ふざけてるっていうのと突き抜けてるっていうのは微妙に違う言葉ではありますが。タレントであり映画監督のたけしさんは、ふざけてるけど突き抜けてますよね。そういうところがあるっていうことです。あまり物事を怖がっていない。例えば、僕にだってテンポ遅いから何とかして下さいって言うし。わかった、僕じじいだからちょっと遅いんだよって(笑)その時真っ当に来るんです。そこに変な遠慮はないんです。ふざけてるっていうのは、僕が初めて会った14、15歳のときには話がおかしいってことがあって、その印象が強いかな。それすごく、アーティスト、本当のアーティストには本当に大事なことで。日々自分を壊さなければいけないわけですね。それをきっとやってくれるだろうなって。オーケストラって日々自分を壊すことはできないものですから、どちらかというと自分たちのスタイルを守ろうとするのがオーケストラですから。それをソリストなり指揮者なりが壊しながら、そのオーケストラの持っているものとぶつかり合いながら、やることがクラシックの作品が毎回新しく生き返る、今作られたように出てくる、正しいやり方なんで、そこに指揮者やソリストが遠慮してたらいけないですよね。そういうことが出来る人は、ちょっと弾けてなければできないという意味でのふざけてるです。

山根さん:道義先生に僕の14、5歳の時の頭に残っているエピソードがあるのかどうかわからないんですが。僕が意見を真正面からいうというのは、本当に、僕は道義先生のことをリスペクトしていて、ただ、舞台上では同じ音楽を一つの曲を作っていく仲間、パートナーだと思います。道義先生から僕が学ぶことがたくさんありますし、その中で、僕が真剣に向き合っている中で、道義先生との違い出てくると思うので、その場合、先生にはたくさん意見を言ってもらって、僕も自信を持って言えることは、言わせていただきたいなと思っていつも取り組んでおります。

 

<公演情報>

2月9日(金)  19:00 市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本)P
2月10日(土)14:00 大牟田文化会館(福岡) P
2月11日(日)14:00 アルモニーサンク北九州ソレイユホール(福岡) V
2月12日(月・祝)14:00 長崎ブリックホール P
2月14日(水)19:00 佐賀市文化会館 P
2月15日(木)19:00 iichikoグランシアタ(大分) V
2月17日(土)16:00 唐津市民会館(佐賀) V
2月18日(日)14:00 アクロス福岡シンフォニーホール V
2月20日(火)19:00 鹿児島市民文化ホール第2ホール V
2月21日(水)19:00 メディキット県民文化センター(宮崎) P

指揮:井上道義

ピアノ:反田恭平(熊本、大牟田、長崎、佐賀、宮崎)P

ヴァイオリン:山根一仁(北九州、大分、唐津、福岡、鹿児島)V

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